この格言は、アポロンをまつるデルフォイの神殿の入り口に掲げられていた語で、ソクラテスが行動上の標語としたものだそうだ。どういう意味か、なかなか難しい。しかし、今、なんとなく分かったような気がしている。
「汝自身を知れ」とは、「自分を反省できること」とほとんど同じ意味だ。これが僕の結論だ。「自分自身を知る」とは、自己を反省し、自分の言動や考え方を変えることができる。すなわち「自分が変われること」と同意義なのだ。
反省しない人は変われない人で、僕の周りにもいる。自分の失敗を誰か別の人のミスだと思い込んで主張する。プライドだけは一人前高いから、周りに人を非難する。そうした人は、しばしば感情的になり、主張が支離滅裂になることがある。こうした人は、自分の能力の限界を明確に把握していないことが多い。
そこで思い出すのが論語にある。曾子の言葉である。曾先生は、「吾日に我が身を三省す」と仰ったそうだ。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝えしか、と。この中で、習わざるを伝えなかったかは気にかかる。結構頻繁にうろ覚えのことをしゃべっている。反省しなさいと曾先生に怒られそうだ。