TBS系列(CBC) で2017年8月5日(土)に 放送された、「戦争と憲法~平和憲法の原点に迫る」は、素晴らしい番組であった。私が知らない情報がたくさん含まれていた。 いわゆる「押しつけ憲法」という表現について、岸前総理がはじめて言い出した視点であること。そして、憲法が作られていく経過を正しく追っていくと、幣原元総理の意見が大きく反映されており、押しつけというのはあたらず、日米の合作というできであること。この二つを明確に理解することができた。後でネットで調べると詳細がわかった。詳細は、以下の注(みんなの知識、ちょっと便利帳)を参照していただきたい。
私は、これまで憲法がたとえ「押しつけ」であっても「よいものはよい」と単純に思ってきた。現実は、現法は「押しつけ」ではないことがわかった。幣原元総理から聴取した戦争放棄条項等の生まれた事情について、平野三郎氏が書いたノート、いわゆる「平野文書」も紹介されたが、私はその文書の存在も知らなかった。
安倍総理は憲法改正について2020年を目標に、憲法9条に自衛隊の根拠規定を設けるなどの改正を行いたいとの考えを示している。具体的な改正内容や時期を明言しているが、これは安倍総理が「時期」まで決めて改正ありきで議論を進めようということは、大変恐ろしいことである。 改正ありきの論法は、安部さんらしい方法であるが、戦後70年の平和の歴史を軽視するものであり、改正が「必要なのか」それとも、「すべきでないのか」から議論すべきである。 また、仲代達矢さんと桂歌丸さんの強い反戦意識も、鮮烈な実体験に基づくことであるため、説得力は極めて大きいと感じた。
注 「みんなの知識 ちょっと便利帳」
- URL( http://www.benricho.org/kenpou/shidehara-9jyou.html)
「戦争の放棄」を謳った第九条の成立に大きな役割を果たしたとされる 幣原喜重郎元首相が、亡くなる直前に戦争放棄条項などが生まれた事情などについて語っている。 聞き手は衆議院議員であり、幣原の秘書官であった平野三郎で、聞き取りは、幣原が亡くなる10日ほど前の、1951年・昭和26年の2月下旬に行われたとされる。 幣原は、『口外無用』として平野に語ったとされるが、平野は、「昨今の憲法制定の経緯に関する論議の状況にかんがみてあえて公にすることにした」とし、『幣原先生から聴取した戦争放棄条項等の生まれた事情について』と題されたその文書は、1964年・昭和39年の2月に憲法調査会事務局によって印刷に付され調査会の参考資料として正式に採択された。これが、いわゆる「平野文書」で、現在は国立国会図書館憲政資料室に保管されている。