アドラー心理学の本(アドラー心理学入門・岸見一郎著)を読んでみた。よく理解できたとはいえないが、アドラーの心理学の骨子をまとめてみる。アドラー心理学では、「褒める」と「叱る」について、どちらも目的は、相手を操作するというところで一致していて、ともに「縦の関係」を基本にしているとする。 アドラー心理学では、「縦の関係」を否定し、「横の関係」を尊重する。横の関係とは、対等の関係を意味する。立場は違っても人としては対等であるということである。これは当然のことである。
そこで、横の関係を形成するためにほめるのではなくて、「貢献」に注目する言葉を使えと教えている。人は、感謝の言葉を聞いたとき、自らが他者に貢献できたことを知る。アドラー心理学では、この「貢献」を非常に重く考える。自分に価値があると思えている人は、人生のさまざまな課題に立ち向かうことができる。他者からの承認ではなく、自らのうちから沸く貢献感こそが、人を強くし、人に勇気を与えると考える。 教育者としては、生徒に対して、「縦の関係」を利用して上から「褒める」のでなく生徒を、「尊重」や「感謝」、のきもちを持って認めることであろう。これが、アドラー心理学が教えることであろうと僕は理解した。
一方脳科学では、「ドーパミンが出る前に行われていた行動が強化する」という「強化学習」が起こる。強化学習が起こってどんどん勉強が好きになる。だからドーパミンを出すきっかけが重要である。
脳科学者の茂木健一郎氏は、講演で次のように言っている。 「子どもにとって、人に褒められるということは大変大きなドーパミンを出すきっかけになるということです。よく「褒めて育てると良い」といいますが、これは脳科学的に言うと事実です。もちろん叱ったり注意することも大事です。ですが、99回叱ったら、それは100回目に褒めるときのための準備だと思ってください。褒めることでしか脳の学習は完結しません。99回叱っていても最後の1を褒めてあげなければ、その子はいじけるだけです。」
私はこちらの、褒めて叱って育てる方法に具体性があるように思う。ただし、人格を尊重し、横の関係もできる限り意識しながら、褒めて育てることがわかりやすくて良いように思う。たくさん褒めて、たくさんドーパミンを出すきっかけを作ってあげようと思う。