アブラゼミ
僕は毎朝、6時半頃には真正校の事務室に入る。朝一番の仕事は、メールのチェックから始める。家から真正校まで、道路をひとつまたぐだけだから、通勤時間は1分とかからない。
朝型になって久しい。今朝も6時すぎに、真正校の玄関ドアを開けたら、1っぴきのアブラゼミが落ちていた。死んでると思ってちょっと触ったら、足が少し動く。自宅の庭へ運んで、草のある地面においた。
塾の玄関に戻るともう1匹別なのが、落ちているのを見つけた。さっきのより弱々しい。これも自宅の庭へ運ぼうとして、塀の外から投げ入れた。 油ぜみは、元気よく電線の高さまで飛んでいった。あの世の入り口から、この世へ急に舞い戻って、意識がはっきりしたのだろう。