私は、この4月から本巣市の一部「八ッ又区」の自治会長にされた。選挙でなく投票で決まった。何をどのようにするのか全くわからないまま2カ月経とうとしている。任期は2年だ。かっては自治会長の職は隠居した人が引き受ける仕事であったろうが、該当者がいなくなり、八ツ又区では副会長も会計など役員は皆現役の仕事を持っている。私も自分の仕事が大変忙しいが、何とか任期の2年を全うしたいと思っている。
引き受ける気になったのは、世話になったこの地域に恩返しをするため、2年くらいなら何とか努力してみようと思うようになった為である。この自治会長の任務を引き受けて見ると、勉強になることも多い。
まず、「前例重視の姿勢」だ。県レベルの行政でも前例は重要な役割を果たしている。判断のよりどころとしている。やってみると自分にも結構、前例重視の姿勢があって、情けないなと思う。前例による姿勢は、判断のリスクを放棄し、深く考えることをサボっているにすぎないからだ。その自分から、「その前例がありますか?」と言った発言が出ると自らびっくりしてしまう。
二つ目に、深く考えないで「多数決」で決めようとする姿勢だ。多数決による場合、たとえ一人でも多い方が「民意」とされる。だから議決機関のメンバーの人数は、奇数であることが求められる場合が少なくない。 この多数決原理も民主主義の根幹のように言われるが、大きな問題をはらんでいる。その差が極めてわずかになった場合である。中でも「よくわからない」という人が多いケースでは、そのまま多数決で決めていいのかということも疑問に思う。
昨日は、「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が行われ、開票の結果、「反対」が「賛成」を僅かに上回った。大阪市の橋下市長が掲げ5年にわたり議論が行われてきた「大阪都構想」は実現せず、大阪市がそのまま存続することになり、橋本さんは、任期満了後は政治家はやらないと明言した。
「大阪都構想」の賛否を問う住民投票の結果は、「反対」が70万5585票、「賛成」が69万4844票、従って「反対」が「賛成」を1万票余り、得票率にして0.8ポイント上回った。わずか0.6という差は、投票の誤差の範囲といえないだろうか。「誤差の範囲」というのが普通の感想ではないかと思うのだ。二者択一で決定する際、いったん投票で決まれば、少数となって主張が否決された人たちも、決定事項には積極的に従って行動することが民主主義の基本である。然しこれほどの僅差は、この多数決システムの想定しない事項ではないだろうか。