NHKニュースで、高校生の英語力について、高校3年生の英語力の中でも特に「書く」力と「話す」力は、中学レベルであることがわかったと報道されました。3月17日のテレビニュースです。その報道の骨子を整理します。
「高校3年生対象に、文部科学省が初めて大規模なテストを行ったところ、「書く」力と「話す」力が目標のレベルに達していない生徒が9割近くに上ることが分かった。また、英語に対する意識を調べたところ、テスト結果が低い生徒ほど『英語が好きではない』と答えていた。文部科学省は『実践的な英語が身についていない現状が浮き彫りになった』として、学習指導要領や大学入試の在り方を見直して英語力向上に取り組むことにしている。」
文科省がどんな問題でテストをしたのかわかりませんので、隔靴掻痒な感じはいなめませんが、中学2年~3年の時点で既に英語が不得意な生徒が多いこと、また、中学卒業する時点で、英語が嫌いという生徒が多数であることは、私の経験上よくわかります。
まず、高校生の英語学習に不熱心な原因は、大学入試という動機付けでは英語学習に情熱を燃やすに不足であることを意味しています。英語が不得意である理由を考えてみます。
○実社会での英語の必要性をほとんど感じない。日本語だけの生活で不足感がない。
○逆説的であるが、英語の教材や学ぶための手段や方法が身の回りに十分ありすぎているため、かえって学習に向かわせる飢餓感がない。学ぶ姿勢を作るには、飢餓感が重要である。
○高校や大学の受験のためという学習動機は、自主的な意欲を増強しない。
○高校での英語授業が日本語に訳すことが中心になっているため、学習の目的が生徒に十分伝わらない。
私の経験では、「英語嫌い」と「漢字嫌い」とはかなり強い正の相関関係があるように思います。漢字の学習は、小学校から高校まで極めて長期にわたって、継続的にたゆまず努力を必要とします。学習には根気が必要です。根気がなくなると不得意になり、あきらめてしまう生徒が少なくありません。英語嫌いと漢字嫌いの正の相関関係は、持続心にあるように思います。どちらも効率の良い学習法はありませんから、英語の力をつけるには、英語で読む、書く、聞く、話すそれぞれの時間を増やす以外にないことは明らかです。