自分の努力や時間をある一事に集中させるか、分散させるかは大変クリティカルな問題だ。数学のある単元、例えば「確率」を得意にしたい場合は、その確率の問題に集中して、参考書を一冊やりあげることが効果的である。数学全般が苦手な人は、英語など他の教科をしばらくおいといて、数学に集中するのがよい。これは極めて小さな事例である。
人は常に新たなことにチャレンジすべきだといわれる。これは正しいことである。しかし、一方で「継続は力なり」とも言う。同じことを長く継続して続けることが大切なことも正しい。実際には、自分の努力や時間を一つのことに集中させることが苦手である場合が多いと思われる。全く別の異なる二つのことをどちらも一流にやりこなす人はいる。医師であり作家という人は珍しくない。物理学の権威でバイオリンの腕もプロ並みという人もいるだろう。
「一芸に秀でる」という表現がある。実際に「生きる力」を与えてくれるのは、それが商品となるレベルである。そのことを考えると、自分の商品としての技能や知識のレベルにならないと生きる力にはならない。結局、時間と労力を集中させて一芸の習熟に徹することが必要となろう。
生産と消費で言えば趣味は消費である。ここでも生産と消費のバランスと言うことであろう。自分でそのバランスを取ることが必要だ。僕は自分の自由な読書は、消費生活だと思っている。趣味だからである。このままでは、趣味的な消費の時間が増え、生産が増えない、貧困な生活が続くような気がしている。集中か分散か、それが問題だ。