先日(6月2日)の中日新聞で、文科省が行った「子どもの自殺の実態調査」(小中高生対象)についての報道が掲載された。まず以下に、この新聞報道の要旨を整理する。
「調査票は背景を「学校」「家庭」「個人」の3つに分け、40以上の選択肢から考えられるものを全て選ばせた。25年12月までに集まった約500の回答を集計、有識者会議に報告した。 学校的背景では、進路問題を抱えていた子供が11.9%で最多。不登校または不登校傾向9.9%、いじめを除く友人関係の悩み7.9%が続いた。家庭的背景では保護者との不和が9.9%で最も多く、保護者の離婚が6.5%で、経済的な困難を抱えた子供は4.6%。個人的背景では、精神科の治療歴がある子供が13.5%だった。」
やや意外だったのは、いじめによる自殺である。これは「学校的背景」に分類されているが、2.0%で意外と少ない。回答が多かった項目は、「進路問題」「保護者との不破」「友人関係」「学業不振」それに「保護者の離婚」等が目立つ。 学校的背景の2位に「不登校または不登校傾向(9.9%)」が上げられているが、これは自殺の原因ではなくて、自殺と同類の原因による結果だと思われる。
この結果を見て、我々で対処できることも決して少なくないように思われる。進路の問題は、小中高の時代だけではないであろうが、職業系高校への進学を考えると、中3までに自分の人生の方向をかなり狭い範囲に決めることが要求される。それぞれの仕事内容を詳細にかつ体験的に学ぶ機会を生徒に与えることが必要だ。
「学業不振」については、教師が努力を怠らなければかなり減らすことが可能だ。決め手は、数人までの極めて少人数指導を徹底することであろう。20人を超えるクラス指導では、数%の生徒が、見切り発車をされて学業不振が起こって当然である。
生徒の「孤立感」も、学校を変えることによって減らすことができると思われる。現に我々の桃李国際高等学院では、登校すれば「ホッとする」友達がいて「孤立感」がなくなることを明確に目標にしている。先生方も生徒一人ひとりの「長所」を見つけ、褒めて激励することを常に意識している。ミニスクールだからできることかもしれない。また、生徒同士が助け合う気持ちが持てるような学校にすべきである。そのためには共同作業などが役立つ。社会見学など数人のグループでなるべく頻繁に出かけることである。 今回のこの調査報告は、特に「桃李国際高等学院」の運営に活かしたいと考えている。