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起業家はリスクテーカー、だから尊敬に値する

起業家はリスクテーカー、だから尊敬に値する

陸前高田の老舗醤油醸造会社が、2011年の津波被災直後から復興への努力の様子を伝える朝日テレビの報道番組を、今日1月19日に見ました。岩手放送局が制作した番組です。この醤油醸造会社は、創業200年を超える老舗で、創業は江戸時代の1807年だそうです。今の社長は、9代目で、先代社長から被災後に社長を引き継いだばかりです。この会社は、「八木澤商店」といって、陸前高田地域では有名なようです。

 醤油は、微生物による発酵で作られます。その微生物の塊が、「もろみ」というもので、これが津波で全部流されてしまったのです。醤油を作る会社としては、この「もろみ」がないと、醤油は作れません。大津波で工場も店舗も跡形なく流されてしまったのですが、2週間後、2キロも離れた山際で、半壊した醸造用の杉樽が見つかり、その樽にほんのすこしくっついている「もろみ」が見つかったのです。社員がそのもろみを樽からスプーンで削り取るシーンが感動的でした。

 この会社の社長はまだ37歳で、9代目の若社長です。この社長が目指したことは、社員を解雇しないで、雇用を守りきるということでした。この社長の名前は、河野通洋さんといいます。「雇用を守る」という気持ちはすばらしいと思いました。平気で人員の整理をする企業が多い中で、規模は小さいながらすばらしい心がけだと思いました。

 ぼくは、こうした、小さい企業の社長を大変尊敬します。みなさんも考えてみて下さい。企業を自分で起こそうとしますと、何が必要でしょうか。土地やお金が必要です。もちろん小さな会社しか作れませんが、それでも多額の資金が必要になります。だから、自分の資金を使うだけでは足りませんから、銀行などからお金を融資してもらって工場や商店を作ることになります。

 銀行からお金を借りるときには、普通、「担保」というものが必要です。「連帯保証人」も要求されます。万一、お金が返せなくなってしまったときのためです。この担保として、会社の社長さんの個人資産がしばしば用いられます。社長さん自身の家や土地です。だから、会社がうまくいかないときは、社長さんの家や土地が無くなってしまうことになるのです。こんな危険を自分で背負ってまで、何かをしようとするには、相当な覚悟とチャレンジ精神が必要です。英語では、「リスクテーカー」といいます。私は、みなさんの中でいくらかの人は、その「リスクテーカー」になってほしいと思います。僕が最も尊敬するタイプの人の仲間になってほしいと思います。大勢のそうした人たちが、地域の人たちの暮らしに役立ち、ひいては日本の国にも貢献することになるのです。

(注:上の「連帯保証人」の法律は悪い制度として、いずれ改定されると思われます。)

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2014年01月20日 22:43に投稿されたエントリーのページです。

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