「人生の目的は」というと大変難しい「哲学的」な問題になりますが、「14歳の君へ」という池田晶子氏の本(毎日新聞社)を読んで、哲学や幸福論についてもうすぐ正月だから考えてみたいと思います。その本の中で、哲学者の池田晶子さんは、「人生の目的は幸福になることだ」と述べています。
しかし、幸福論などと言うと難しいので、昔から有名な幸福論の本にはどんな本があるかを紹介したいと思います。いつかどれでもいいのでぜひ読んでみて下さい。 最も有名なの幸福論は、アランの幸福論、バートランド・ラッセルの幸福論、ヒルティの幸福論の3つです。この3つに次いで、ショーペンハウエルという人が、『幸福について』という本を書き、その中で、幸福になるためには、「目先の環境に振り回されるのをやめ、すべては空しいと諦観することで精神的落ち着きを得るべきである。」と言っています。「諦念とか諦観」というのは、あきらめるという意味で、あきらめることによって、幸福が得られるという意味です。
幸福論というと、一番よく本屋さんで見るのが、アランの幸福論です。 アランは、『幸福論』の中で、健全な身体によって心の平静を得ることを強調しています。まず健康が一番というのです。当然のような気がします。その上で、すべての不運やつまらぬ物事に対して、上機嫌にふるまうことが大切だと述べています。また社会的礼節の重要性を説いています。アランは先生として長く教育に携わった人です。
次に有名な幸福論は、バートランド・ラッセルの『幸福論』です。この本で、ラッセルは、自分の関心を外部に向け、活動的に生きることを勧めています。ラッセルは、英国貴族の出身で、ラッセルスクエアという地名にもなっています。数学者でもあり、数学の著作もあります。少しがんばれば、英語の原文で読んでみたい本です。高校入試がすんだら、ぜひ取り組んでみよう。
その次に有名なのは、ヒルティの『幸福論』です。これも、岩波文庫に草間平作という人の翻訳があります。ヒルティの幸福論は、やや宗教的で、「神のそば近くあることが永続的な幸福を約束する」と述べています。宗教的な裏付けのない「道徳は無い」と哲学者の梅原猛が小学生にした特別授業で述べています「梅原猛の仏教の授業 法然・親鸞・一遍」。僕らは宗教と全く無縁の生活をしていますが、宗教は大切なのかもしれません。
そのほか、英文学者の福田恆存は、『私の幸福論』という本で、次のようなことを言っています。「望むものを手に入れるために戦い、敗北しても悔いないこと。」敗北しても悔いないことができるでしょうか。難しそうだね。