ぼくの車は既に10万キロ以上走った古い車だ。その間に運転席のシートベルトがうまく出し入れができなくなってしまった。徐々になっていったのでぼくもシートベルトはそんなものだと思っていた。しかし、シートベルトだけを交換することはできないと何となく思っていたが、念のためいつもお世話になっている車屋さんに聴いてみたら、取り替えできると言う。それならぜひと、すぐにお願いした。
今日、その取り替えが終わり車が戻ってきた。実に快適だ。シートベルトを引き出すのも納めるのも、たいへんスムーズにできる。そんなことならもっと早くやれば良かったと悔やまれる。そうすれば、1月24日のぼくの事故と怪我はしないでも済んだのに。
事故は焦りが原因だ。この日はぼくも時間に追われて焦っていた。 1月24日午後6時半頃、名和医院の駐車場、すぐ隣の、薬局で薬をもらって帰るとき、どうしても、シートベルトが出てこない。どこかで引っかかってしまっているようだ。ぼくは、ドアを開けてそのまま車の外へ出ようとした。まだ、シートベルトはぼくの肩に巻き付いたままだった。エンジンはかかっており、ドライブのギアに入ったままだった。やがてぼくの意志と関係なく車は動き出した。オートマチックの車は欠点もあるのだ。ぼくは、引きずられた。7メートルか8メートル引きずれながら、意識ははっきりしているが、そのときのぼくの姿勢はどんな具合だったかはっきりしない。数メートル引きずられて、車が花壇の縁石にぶつかって止まった。そのときはぼくは完全に倒され仰向きの姿勢になっていた。その間わずか数秒だろう。立ち上がってみるとズボンはずたずたに破れている。
何とか家に帰った。家で自分の怪我の状況を見て、血の気が引いた。後から思い出すと、車の下敷きになったのでは死ぬこともあり得たと思った。 自分の怪我を見ると急に寒気がして意識が少し遠のいた。その様子を見て、家人が救急車を呼んでくれた。 それから5月まで約4か月、近くの病院へほぼ毎日に通った。6月になって、病院通いもようやく終わった。