« ぼくが尊敬する人物像 | メイン | 邪馬台国は新羅系、これを百済系の山跡国が接収 »

木村草太著、「憲法の創造性」を読む

木村草太著、「憲法の創造性」を読む

ぼくは、複数の本を同時に少しずつ読んでいるが、その中で特におもしろかったのが、木村草太氏の「憲法の創造力」(NHK出版新書)だ。 最初に持った疑問は、「創造力」という表題の違和感だ。この本では、君が代不起立問題から、裁判員制度についてなど具体的な問題について、憲法の条文の視点から、丁寧にロジカルに議論されている。最初に、違和感を与えるのも、その先を読ませるテクニックかも知れない。

 その中でも、特に最後の章「憲法9条の創造力」が一番興味深い。ここで、憲法9条の本当の意義がどこにあるかが明快に示されている。その219ページの記載を少し引用する。

     「9条の意義は、核兵器と空母はダメ、軍という名前もダメという量的・形式的な規制をするところではなく、実力組織の構成や武力の行使について、常に、「それが自衛のために必要な最小限度と言えるか」の説明を求めるところにある。」

    「日本政府は自衛隊の装備や防衛費の総額など、常に、「必要最小限度性」の説明をさせられて来たわけであり、「自衛隊のための必要最小限度性」といえるにはどのような枠組みを設定しなければならないか、考えざるを得なかった。」

     「憲法9条の実質的な改正とは、「必要最小限度性」についての説明責任を廃止することを意味する。それを狙う改憲論は、平和の脅威であり、政府・防衛関係者を含めた日本国民のこれまでの努力を放棄するもので、とうてい容認できない。」 (ここまで憲法の創造性より引用)

ぼくは、日本は「法治国家」と言っているが、実際は憲法や法律の解釈の幅が極めて大きく、「武力の放棄」は何とでも解釈でき、だから、自衛隊も合憲としているのだろうと考えてきた。時の権力者により条文をどのようにでも解釈できるなら、とても「法治国家」とはいえないではないか思っていた。木村草太氏の明快な説明は、この辺の疑問についてキチンを分からせてくれた。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://tesacademy.jp/mt/mt-tb.cgi/289

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2013年06月06日 13:03に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「 ぼくが尊敬する人物像」です。

次の投稿は「邪馬台国は新羅系、これを百済系の山跡国が接収」です。

Powered by
Movable Type 3.38