皆さんは、「ダークマター」という言葉を聞いたことがありますか。日本語では、「暗黒物質」と呼んでいます。この暗黒物質が宇宙にいっぱいあると信じられているのは、銀河などの観測から、目に見える物質の他に観測できない物質が大量にないと説明できない現象が分かってきたためです。その物質が何であるか分からないため、「暗い」という意味の英語「ダーク」をつけてダークマターと呼んでいるのです。 よく分からないダークマターとはどんな物質か調べようと、多くの科学者ががんばっています。ダークマターがどんなものか分からなかったのは、この物質はたいへん観測が難しいためです。
AMSという観測機で観測したのは、ヨーロッパやアメリカ、アジアの国際研究チームです。研究チームも国際的ですね。彼らが見つけたのは、ダークマター同士が衝突して消滅するときに飛び出す陽電子です。その陽電子の量やエネルギー、その飛んで来る方向から、ダークマターによるものだと考えているのです。ただし科学者は慎重ですから、まだ他の可能性もありえるとして今後も観測や実験を積み重ねていくと言っています。陽電子というのは難しいですが、プラスの電荷を持った電子のようなものです。
ところで、最先端の観測にも岐阜県は大切な場所でということを知っていますか。岐阜県飛騨市神岡町にある鉱山跡を利用して地下深くに研究施設があるのです。この施設をカミオカンデと呼んでいます。この施設の中で最先端の観測や実験が行われています。
このダークマターとよく似ていて全く異なるものに「ダークエネルギー」というものがあります。これは、いま宇宙の膨張が加速していることが分かっているのですが、その原因とされています。まだどんなものか分かっていません。私たちの知っている物質はわずか4%で、ダークマターが23%、ダークエネルギーが73%もあるというのです。 私たちは、物理学が急速に進む時代に生きています。ワクワクしますね。この分野の研究者になれたらすごいですね。