3月31日、大阪の新歌舞伎座で里見浩太朗主演の水戸黄門を見た。テレビと同じ、音楽とストーリーで楽しませてくれる。クライマックスでいよいよ印籠が出るなと思われるところで実際に出る。そこが良い。予期できないことと予期できることが、うまく混ざっているから、安心して見ていられる。
お芝居のあと、短めの歌謡ショウ-があった。その中で里見浩太朗が唄った、荒木とよひさ作詞、弦哲也作曲の「笛の彼方に」の歌詞に感動した。
「嗚呼 生きることが いま見えてきても 淋しさを肩に 宿しても 人生まだ秋半ば いまもいまも いまも少年のままで」
特にその最後の部分がいい。 ぼくは、年齢から人生そろそろ冬かなと思っていたが、76歳から「人生まだ秋半ば」といわれれば、ぼくはまだ、「人生残暑の候」といえるのではないか。少なくとも「人生初秋のころ」であろう。
「いまも、少年もままで」はまさに、いまも夢を追いかけている自分のことを言っているようで感動した。 むしろ少年の頃、ぼくが熱中していたことで何十年もの長い間封印してきたことがある。その封印を今解いて少年に戻りたいという希望を持っている。その気持ちを美しく歌ってくれた気がした。