3月25日(月)の産経新聞に次のような記事が掲載された。以下はその提言の骨子である。
「自民党の教育再生実行本部(遠藤利明本部長)が理数教育の充実策として次の二つの提言をする。
①文系を含むすべての大学入試で理数科目を必須とすること。
②小学校の理科の授業をすべて理科専門の教師が行うことを提言すること。
この二つである。 その理由として挙げていることは、日本経済を復活させ、技術立国として「イノベーション(技術革新)」を進めていくには、将来世代に対する理数教育の充実が不可欠と教育再生実行本部が判断したためだ。」
この提言はさらに次のように続いている。 「文系の大学入試では、特に私立大の試験科目は英語・国語・社会の3科目が中心となっている。この文系の入試の3科目に、理数系の入試科目が加われば中学、高校での理数科目の時間が増えて、科学技術系分野に関心を持つ生徒が増えるとを期待をしている。」
この記事を見て私は次のような感想を持った。 私立大学は、生徒確保に激戦をしている。質の良い学生を確保したいというベクトルは入試科目を増やし、難易度を上げる方向に働く。一方、生徒数を確保するためには、入試科目を減らし、受験し安くして生徒確保をする方向に働く。この二つのベクトルの交点に入試科目数やその難易度が決まる。経済における価格決定と同様なバランスの結果が、各大学が取る入試科目数であり、問題の難易度だ。
上の教育再生実行本部の考え方は、たいへんに立派であるが、私立大学の文系学部の入試に理系教科である数学・物理・化学・生物・地学などを加えることは容易ではないであろう。数学と言っても「数学Ⅰ」だけなら可能性はあるように思う。しかし、それ以上の数学Ⅱ・数学Bまたは数Ⅲそして理科の中でも「物理」を文系学部の入試科目に採用する大学は現れないと思われる。