震災からの復興というテーマは際限なく広い。私はその中で特に次の二つのことについて考えたい。第一には、津波の恐れのある地域の都市計画である。第二に、原子力発電は今後も依存するかそれとも無くしていくべきかという問題である。いずれも、容易に解答が出るような問題ではない。今回の東日本大震災の後から考え続けいているテーマである。
その中でも、都市計画に絞って検討してみる。現在実際に住宅地区として高台に土地を確保し住居として利用する方策が進められている。私も望ましいことだと思う。しかし、100年に一度あるかどうかといった大津波に備えようとする危機意識は、やがて小さくなっていくだろう。まさに「天災は忘れた頃にやってくる」のだ。津波の被害が想定される地域はほとんどどの地域も風光明媚で、また漁業などの産業に適した住みやすい場所である。観光業にも適しており観光ホテルも立つであろう。そうした場所は、津波被害に遭う以前のような姿に戻り、再び人が高密度に住み始めるに違いないと思われる。
そうしたことを想定すると、被害を最低限の抑えるための方策を考えた方が現実的だと思われる。すなわち人災の部分を皆無にすることである。地震情報は相当難しいが、津波の情報は、正確を期すことが可能であろう。そのための正確な情報を緊急に全ての人に伝え、その際の行動を明確化しておくことである。津波が襲来する前に避難できる場所をつくっておくことである。高さが数十メートルと言うような防波堤で周囲を囲み込むことは現実には困難であり、仮にできたとしても人が生きる場所ではなくなってしまう。 私がイメージしていることは、避難場所としての人口の高台または避難塔を複数個地域ごとにつくっておくことである。