受験のための小論文の指導ほど難しいものはないと思います。特に難しいと感じるのは、推薦入試の小論文の場合です。推薦入試では、テーマ型の出題が少なくありません。難しさの原因は、各大学の出題する問題の側と、受験する生徒の側の問題と両方にあります。 問題側の難しさは、いわゆるテーマ型の小論文を考えた場合、そのテーマが相当専門的なものから一般的なものまで、全く枠がないことです。これは、大学院の入試ではないのかと言ったものまであります。 たとえば、最近ぼくが指導したテーマにはこんなのがありました。
○クラウドコンピューティングの現状と今後の課題について述べなさい。(愛知工大)
○学校教育法では、「幼稚園は義務教育およびその後の教育の基礎を培うもの、」「小学校は、心身の発達に応じて義務教育として行われる普通教育の基礎的なものを施すことを目的とする。」と定められています。では幼稚園はなぜ義務教育でなく、小中学校だけが義務教育なのか、あなたの考えを述べなさい。(中部大学)
また、一般推薦の場合、面接での質問事項も千差万別で、受験生としては一筋縄ではいかないように思います。「志望理由」は当然聞かれますが、「当日どのようにして大学まで来たのか」と言った(つまらない)質問から、口頭試問といえるような内容のものまであります。面接で問われた内容にはこんな例もありました。英語と数学の基礎学力を見ようとするものです。
○ sin x 、cos x の微分など主に数Ⅲの問題を5題示し、2題できた人から発表する。
○ 英語の例文を5題示し、「日本語に訳しなさい。できた人から発表して下さい。」
○ CGに関しての具体的な質問
ある程度専門的な知識が必要な質問もあり、通常の面接の範囲を超えていて、準備も容易ではない気がします。
私自身が、むかし受けたある面接で聞かれたことで今でも覚えていることがあります。その質問とはこんなものでした。
○ AM放送に比較してFMの音質が良いのはどうしてですか。
○ フリップ・フロップ回路について回路図を示して説明して下さい。
○ あなたは、考えてから走り出すタイプですか。それとも考えながら走るタイプですか。
このような質問に対して、あなたならどのように応えますか。 また、受験生の側の難しさは、高校生の読書量の少なさに原因があります。受験大学が決まって切羽詰まってから、指導を受けに来るので時間が足りないことです。だから、付け焼き刃的な力さえつけるのが難しいのです。