京都大学教授の山中伸弥先生が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発で、今年のノーベル医学・生理学賞に選ばれました。授賞理由は「成熟した細胞を、多能性を持つ状態に初期化できることの発見」だそうです。4種類の遺伝子を入れるだけで、あらゆる組織や臓器に分化する能力と高い増殖能力を持つiPS細胞が作れるというから驚きです。山中先生の功績は、拒絶反応の少ない再生医療や難病の仕組みの解明などにつながりますから、素人でもすごい業績だと想像できます。
医学・生理学賞の発表の後、ノーベル文学賞とノーベル平和賞が発表されましたが、この二つの賞の受賞者の決定には、かえって自然科学系の受賞者の権威を落としかねない難しさがあるように感じました。特に「平和賞」はこれまでの受賞者を見ると、どうしても万人の賛成が得られる受賞者が多くはなく、違和感を持っている受賞者が多いのではないでしょうか。実際、マザーテレサは受賞して当然だとおもいます。マハトマ・ガンジーが候補にのぼりながら受賞しなかったのは、どうしてでしょうか。
少なくとも、「ノーベル平和賞の該当者なし」という年が長く続いてもかまわないのではないかと思います。いっそ、思い切って自然科学と経済学系の賞に絞るのが良いと思います。山中伸哉教授の後で、ノーベル平和賞が発表されましたが、「平和賞が何でEUなの」という違和感はどうしてもぬぐえません。