サッカーの日本代表監督を務められた、イビチャ・オシム監督が日本を去るとき、選手を始め日本人全体に残されたメッセージを見つけました。このメッセージは詩のように美しく、ぼくも感動しました。少し長いですが全文引用します。
「スポーツとは何でしょう。 見て楽しむもの? やって楽しむもの? どちらも正解でしょう。 しかし、完璧にエレガントな正解とはいえません。
スポーツとは、育てるもの。 人の心を育て、身体を育て、チームワークを育て、夢や情熱を育てるもの。 そして、そのスポーツもまた、育てられることを必要としています。 スポーツには、人生と似たところがあり、 なにか成し遂げようと思えば、必要な条件を整えなければなりません。 スポーツが人を育てるように。 人もまた、スポーツを育てていく必要と責任があるのです。 日本での6年間は、わたしにとって複雑な6年間です。 やり遂げた、と自己評価できる部分もありますが、やり残したことも多い。
経済の影響で日本が元気を失いかけている時に 日本を離れなければならないことは、私の人生の中でもかなりつらい決断でした。 ですが、私は願っています。 日本のみなさんが、日本のスポーツに愛着を持ち、育てていくことを。 そして、そう遠くない将来、日本のスポーツが世界を驚かせる 大きな、魅力的な果実を手にすることを。」
これに対して、私はオシム監督に礼状を書いてみました。
「 2012年9月5日
イビチャ・オシム様
オシム監督、6年間お疲れ様でした。そしてありがとうございました。 監督が日本人全体に対して残されたメッセージを拝読し、少なからず感動しています。 特に、「スポーツは育てるもの。人の心、身体、チームワークそして夢や情熱まで、人生のほとんど全てを育てるものだ」という、監督のご指摘は、長年におよぶ選手や監督としてのご経験があって始めて生まれる見識だと思いました。 私自身は、ほとんど何のスポーツもしていませんが、スポーツのすばらしさを教えられた気がします。 また、6年間日本に滞在される間に、日本がお好きになられたなと感じました。経済的な沈滞を心配するお気持ちもありがたいと感じました。 いま、日本も近隣諸国と領土問題等抱えており、国家間の摩擦は民間レベルまで押し寄せています。しかし、監督のような人が民間レベルで諸外国との友好関係を築いていくことが最も有効で大切だと、私は思っています。今後とも、日本のサッカーそしてスポーツ界全体を見守って下さいますようお願いいたします。」