小論の添削指導をしていて、「エッ」と思うような設問に出会った。500字の要約を作れと言うのです。課題文の字数を計算してみると2000字ちょっとある。この評論文に対して500字の要約文を作れという設問はぼくも長く小論の指導をしていますが、初めてのことです。これが設問1になっている。普通は200字くらいでしょう、要約というのは。しかも設問2で自由に自分の意見を述べるようになっているのですが、その設問には、字数制限が全く何も書いてない。どんな解答用紙をくれるのかも分からない。小論文の試験というのは、出題する大学側も、結構気楽に問題を作っているようです。どんな設問にしたって、大手予備校から「不適切」というクレームや評価される恐れなんかないからでしょうから。
課題文の中には、要約が作りやすいものと作りにくいものがあるんです。普通、課題文をだいたい4分の1くらいにまとめようとしたら次のようにするのが普通でしょう。
課題文筆者が主張している内容を明確に表現している部分または段落と、その内容説明のための「例」または分かりやすい「言い換え」、「具体化」、「語句の説明」などの部分と区別する。そして、例などの部分(段落)を鉛筆で×印をつけて消去する。そして課題文筆者が主張してしたい内容を明確に表現している部分または段落を四角で囲む。 その部分だけに着目して余計な修飾語などを消去して、その後で文頭や文末の表現をそろえてうまくつながるように自分で作文する。
これで合格答案ができると思うのです。
ところが、課題文自身がまとまりがなく、ほとんど何の脈略もなく種々雑多なことが書いてあるような文章の場合、200字くらいの要約なら作れるとしても500字となるとむずかしいね。作っても本当にこれで課題文を書いた人も満足してくれるだろうかと考えると、小論指導10年のベテランで「合格請負人」と自負するぼくでさえ、自信がない。 「困っちゃうねー♪」と独り言も言いたくなるものです。
設問に字数制限がない時も困るね。解答用紙が普通の原稿用紙ならその8割くらい埋めればいい。だから字数は想像できます。しかし、罫線だけの場合や中には長方形の枠だけという場合だってある。実際に、岐阜県のある看護系大学ではそんな解答用紙が支給されます。こんな場合は、小論文の対策と言うより小さめのきれいな文字が書けるように練習の方が大事になるのではないでしょうか。大きさのそろった字が書けないと、試験官もまともに読んでくれないかもしれません。