毎年、小学生の夏の勉強会では、実験や工作を行っている。今年はテーマが二つあり、一つは、レーウェンフックの単式の顕微鏡をつくり、それぞれに見たい物を観察することである。もう一つのテーマは、紙製のブーメランをつくって飛ばそうというものだ。
レーウェンフックの単式の顕微鏡は、ほとんどのクラスで既に作成した。生徒はそれぞれ見たい物を集めて観察したが、好評だったのは「食塩の結晶」と「レタスの白い部分」であった。使用したガラスビーズの表面は、なめらかさがやや不足し必ずしも良いレンズとは言えないため生徒の反応を私は心配していたが、実際にはたいへん好評だったので安心した。
このレーウェンフックの顕微鏡でトリビアルながら、おもしろい事実を最近知った。 その事実とは、まずレーウェンフック自身が作った単式の顕微鏡は、かなり解像度が良かったことだ。彼は単式顕微鏡に使用するガラスビーズの製法を秘密にしていたが、細いガラス管をバーナーで加熱して先端を溶かして小球状にする方法を用いるようになったと推測されている。実際に彼が顕微鏡を見ながら描いたデッサンが残っているが、詳細で正確に描かれている。
もう一つのトリビアルな知識は、ヨハネス・フェルメールの描いた「天文学者」はレーウェンフックがモデルとされていることだ。フェルメールのもう一つ男性がモデルの作品「地理学者」も同様だそうだ。男性をモデルにした作品はこの二つしかないが、二つともレーウェンフックがモデルとは驚いた。その上、フェルメールとレーウェンフックは親友だったようで、だから二つともレーウェンフックをモデルにして描いたのだろう。それとも、こんなことは誰でも知っている周知のことなのだろうか。驚く方がおかしいのかも知れない。