「合格からその先へ」、このキャッチフレーズは既に使い古された感があります。進学塾に求められるのは、まず志望校合格であることは確かでしょう。しかもその前提として成績を上げることが必要になります。しかし、私たちは、生徒を「志望校へ合格させたら我々の役割はそれで終わり」とは決して考えていません。
当塾の卒塾生が、大学等を卒業してしばらくして、報告に来てくれることが少なくありません。「先生、今、○○会社でこんなことをしています」とか、「今度、アメリカへ2年間行くことになりました」とか、「ドイツ人の科学者と結婚します。もうすぐ私もドイツへ渡ります」など。それぞれ近況報告をする為に訪問してくれるのです。
社会人として立派になった姿を見て私たちも目を見張ることが少なくありません。これこそが、「生きる力」だと具体的に感じるのです。一方で、周りの人と良い人間関係を築くことが苦手な人がいます。コミュニケーション力が不足で、対話により相互理解を深めることがほとんど不可能であったり、自分のことは際限なく述べるのですが、空気が全然読めないような人です。難関大学合格の学力をつけて合格させても、これでは本当の「生きる力」の養成に成功したとはいえません。一方で、高校生のうちからすでに対人能力が極めて高く頼もしい生徒もいます。学校や塾での生活、さらに部活動などを通じて高い社会性が養なわれたと思います。誰とでも良い人間関係が築ける能力が将来大いに役立ち、これが「生きる力」に育っていくのだと思います。
私たちは、40年以上にわたる私塾教育の経験を踏まえ、学力と対人能力を同時に養うことが任務だと考えています。合格力をつけるために、生徒と保護者のみなさんは塾を利用されるとは思いますが、受け入れる私たちは、「合格のその先」を考えているのです。 その目的こそ「生きる力」つまり「学力プラス対人能力」の養成です。すなわち、全ての人と良い関係を築くことが教育の目的の一つだと考えています。