日食めがねを買おうと、先週の土曜日には近隣の書店、ホームセンター、ドラッグストア、百均の店などたくさんの店を回ったが、日食めがねは全て売り切れていて手に入らなかった。中には、「今頃そんなもんありませんよ」という感じの応対もあった。日曜日にも、科学の専門店まで行ってみたが、在庫はなかった。
ぼくは、日食めがねはあきらめた。ガラス板をろうそくの煤で黒くすることも考えたが、これは目に悪くだめと聞いていたので、ピンホールカメラで白い紙に太陽を投影することにした。段ボール箱の一面に小さな穴を開け、反対側に白い紙を置いて、太陽を投影してみた。確かに太陽はすでに部分日食状態であった。しかし、像が小さすぎる。5円玉の穴くらいしかない。ピンから画用紙までの距離が足りないのだ。しかし、ピンホールから紙を離せば、像は大きくなるが解像度が悪く境界がぼけてしまう。
そこで、双眼鏡を使うことにした。双眼鏡の像を白い紙に投影してみると、太陽は500円玉くらいの大きさに見える。しかも双眼鏡だから、像は二つ。やがて、岐阜地方でも完全な、金環食になった。盛んに鳥が鳴いている。夕方のように全体が赤っぽく見える。太陽に力がないからだろう。まるで、昭和30年代のカラー映画を見ているようだ。
隣家の親子も一つの日食めがねを使って見ている。ぼくも自分の目で見たいという衝動はあったが、あきらめた。当塾の前には、桜とハナミズキが数本植えられているが、その木漏れ日が全てCのかたちである。輪郭はぼけているが、このCはかなり大きくしかも多い。ちょっと残念な金環食観測となった。