いよいよ、大型連休が始まります。生徒のみなさんは、どんな計画を持っていますか。受験生のみなさんに休みはありません。では、この連休はどう過ごしたらよいのでしょうか。
まず、苦手教科を徹底的に克服をしましょう。もちろんこの休み中だけで、苦手科目が得意科目にすぐに変ぼうさせることは困難です。しかし、そのきっかけをつくるべきなのです。きっかけは十分作れるのです。それにはどうしたらよいでしょうか。
苦手教科の勉強時間を数倍に増やすことです。むしろ、苦手科目だけ勉強するくらいの気持ちでやるのです。そんなことをしたら得意科目が不得意になってしまうと心配するかも知れません。しかし、そんな心配はいりません。得意科目はどうして得意になったかと言えば、その科目が好きでよく勉強したからです。だから、得意教科の勉強時間は、それほど減らないのです。
たとえば、数学が苦手で英語が得意という人は、数学の勉強時間をグンと増やしましょう。まず教科書を繰り返し精読しましょう。精読するときにはボールペンでアンダーラインを引いたり、丸や四角でくくったり教科書に書き込んで下さい。唯見ているだけでは暗記できません。定義と定理とその証明はノートに書き写して完全に覚えておきましょう。
その後は、解答が詳しく書いてある参考書型の問題集を使用して1日数題は問題を解いて下さい。いったん解いたら、その問題を振り返ってその解法をしっかり覚えておきましょう。どうしても解けない問題は、5分くらい考えても糸口が見つからなければ、詳しい解答を読んで理解して下さい。その後は、解法をしっかり覚えましょう。覚えるときには書いて覚えるのが一番です。中学生も高校生も同様です。
英語が不得意という人は、この連休を利用して1日10時間くらい英語ばかり勉強してはどうでしょうか。まず、教科書を声を出して読んで下さい。教科書の丸暗記をするのです。教科書の暗記などしてもその文章がテストに出るわけでないからあまり意味がないと思う人も少なくないでしょう。そうではありません。文章を見たら何でも暗記するクセをつけることが大切なのです。グラマーの教科書も文章を暗記しようという気持ちが重要です。確かに教科書丸ごと暗記をするには、やや時間がかかります。回り道のように感ずる人も多いでしょう。しかし、「急がば回れ」というように文章丸ごと暗記が英語得意化作戦の最良の方法なのです。作文も同様です。先生がいれば、添削をお願いすることができますが、そのような先生がいない人は、詳解が書いてある問題集を使用して模範例文を徹底的に暗記して下さい。
そのほかこの連休をどう過ごしたらよいでしょうか。ぼくがお勧めするのはやはり読書です。唐突ですが、岐阜高校の校訓を知っていますか? 「トータルパーソンの育成」です。ここでトータルパーソンとは、「知性と精神を高い次元で統合した人間」をいうと説明されています。ちょっとむずかしいですね。知性、判断力、対人能力などのバランスがいい人を言うと考えて下さい。文系・理系などと分けてはいけません。そんな区別はありません。ところで、今年の指導要領の改訂の眼目の一つは、コミュニケーション力を高めることとありますから、コミュニケーション力を養うことは特に大切だと考えられます。
では、どんな本を読んだらよいでしょうか。ぼくが勧めるのは、古典と新書です。内外の古典に取り組み長編を読む忍耐力や集中力をつけて下さい。新書は知識を増やすためです。社会科学、人文科学、数学や理科系のものなど何でもどん欲に読んで下さい。講談社ブルーバックスの「アインシュタインの世界」(Lインフェルト、武谷三男訳)など素晴らしい本です。また、ベストセラーになった「生物と無生物の間」(福岡伸一)もお勧めです。中公新書の「競争と公平感」(大竹文雄)も新たな見識を増やしてくれるでしょう。次から次へ興味がわくまま読めばいいのです。ときには英語の本にもチャレンジして下さい。この連休を最高に有意義に過ごして下さい。