入試小論文としてしばしば出題されるテーマの中に、「携帯電話の功罪」があります。生徒が携帯電話の所持することの可否については、高校入試と大学入試の両方で多く出題されています。頻出テーマということができます。
高校生にとってはいつも友達とつながっていたいといった希望が大きいこと、通信が極めて便利であること、また、インターネットと接続できて、パソコンと同様な機能が充実していることなどから、近年爆発的に普及しています。また、小学生・中学生についても家庭との連絡手段としてまたは安全対策として子どもにケイタイを持たせる保護者も少なくありません。 一方で、ケータイ・ネット依存症に陥る生徒が現れたり、チェーンメールなど新たな社会問題が生じています。この現状を受けて、文部科学省は2009年1月、小中学校は携帯電話の学校への持ち込み原則禁止、高校は校内での使用禁止の通知を出しています。
このケイタイが、ついに高校入試で不合格という事件に発展してしまいました。事件の概要は2012年3月10日付けの新聞報道によりますと以下のようになります。
「岩手県の教育委員会が3月9日に行われた県立高校入試で、試験会場に携帯電話を持ち込んだとして、男子受験生1人が不合格にされた。その男子受験生はカバンに携帯電話を入れ、廊下のロッカー内に置いていたところ、1時限目の国語の試験中に、バイブレーター音が鳴っているのに巡回中の教員が気づいた」これが今回の事件の骨子です。
この新聞報道を見て、ぼくは不合格とされた高校生に同情せざるを得ません。ケイタイについては、中学生においてはその所持のメリットとディメリットがたくさんあって保護者の方も所持させる目的によっては積極的に持たせているからです。大学受験生の事件とは全く別に考える必要があります。
また、ビジネスマンにとってはケイタイを所持していることはほとんどエチケットのようなものです。教師にとっても同じです。ケイタイを持たないことは教師やサービス業に携わる人にとしては、失格ではないかと思っています。いつでもお客や生徒とつながる携帯を持つことは、そのビジネスマンや先生の心構えを示すものであり、必須欠くべからざるアイテムといえるでしょう。
確かに、ケイタイには種々の落とし穴があり、小中校生がその被害に遭うケースがあることを考えるとはたいへん心配ですが、通信をブロックする手段を講じることで解決すべきでしょう。また、高校受験生が不正行為のために携帯を使用するなどと言った心配は全く必要ありません。不合格にされた生徒は、こんなことにめげずにがんばってほしいと思っています。