みなさんは、自分を「文系」「理系」でわけて考えていますか。また、高校では「文系コース」と「理系コース」とに分かれていますか。もしそんな風潮があるなら、「文系」「理系」という発想そのものから一刻も早く卒業して下さい。そもそも「文系」「理系」という発想そのものが意味をなさなくなってきています。文系に分類される「経済学」や「心理学」の分野では高度な統計的な知識が必要になっています。一度、BSで放送中に「放送大学」で「心理統計法」といった講座を見てみて下さい。これは心理学の授業でなくて数学の授業ではないかと勘違いするくらいです。
また、普通「理系」に区分される科学者や技術者でも、最も大切とされるのは、コミュニケーション力です。来年から始まる高校の「脱ゆとり」の新指導要領は全ての教科で「コミュニケーション力」を重視する指導内容になっているはずです。よく考えると数式で表すことも一種のコミュニケーションに他なりません。極言すれば、数学を一種の言葉ということもできると思います。
自分は「文系だから」とみんなの前で言う場合は、特に数学が苦手であることを弁解し、数学が不勉強であることを自己弁護しているに過ぎません。また「自分は理系だ」という場合は、日本語で文章を書いたり、英語でコミュニケーションを取ることが苦手で、勉強しようとしないことを正当化しているに過ぎないのではないでしょうか。
とくに心理学、経済学などは、工学部や理学部など理系学部の出身者が活躍している人も少なくありません。外国ではもっとその傾向が強いでしょう。経済学の著名な公式に「ブラックショールズの公式」というものがあります。これは、高度な偏微分方程式で記述されていますが、物理学の「ブラウン運動」を表す方程式をヒントになって作られたものだそうです。
フランスでは、高校の段階までは優秀な生徒はすべて理系の教育を受けると聞いたことがあります。また、アメリカでも高校段階で理系・文系に分けることはしていません。大学も営業ですから、受験生が減少すると、死活問題になります。だから、なるべく多くの受験生に受験してもらうために、受験科目を減らそうとします。いまだに、理系文系などとわけているのは、受験科目を減らす便宜に過ぎません。みなさんは、文系・理系などとわけないで、ぜひ「文理系」だとしてこれからどん欲に勉強して下さい。大学受験の際、受験に関係のない教科をまったく勉強しないで済ましてしまうと、魅力の乏しい薄っぺらな人間になっていきます。後に禍根を残すことになります。いわゆる文系教科も理系教科も区別なく、一所懸命勉強して下さい。