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高校で物理学を履修している人は2割

大学受験科目も減少、教養がでこぼこ状態

高校生の物理の履修率に関して、かっては高校生の8割が物理を履修したのに、物理の履修率は徐々に減少して、現在ではわずか2割になってしまったと、立花隆氏が10年以上も以前から雑誌や著書で訴えていた。具体的に言えば高校理科教育における物理の履修率が1970年93%、 1980年76%、1990年33%、1994年10%と激減しているそうだ。また、ある新聞記事によれば、現在では全高校での履修率は約15%という報告もある。

その結果、物理を履修しないで大学の工学部へ進学する学生も少なくない事態になっている。また、生物を履修しないで、医学部を受験する学生もいる。実際にぼくも、生物を学ばないで医学部を受験する受験生に、小論文と面接の指導をした経験がある。そのハンディを乗り越えて合格した。さらに、地学の履修率はわずかに2%にすぎないそうだ。そのため地学を全く教えない高校も少なくないのが現実だ。また、物理Ⅰ,物理Ⅱの分割方法、化学Ⅰと化学Ⅱの分割方法が不適だという指摘もされている。

私の高校時代は、理科としては、物理・化学・生物・地学の4科目は必修であったし、社会も地理・世界史・日本史・倫社・政経も必修であった。数学も数Ⅰから数Ⅲまで全て履修した。決して選択制ではなかった。国立大学の受験科目も理科2科目、社会2科目が課された。必修の時代はその後10年以上続いた。

履修科目の減少は、「選択制」にもあるが、大学の入試科目の極端な減少にも理由があるだろう。大学への進学率が向上すれば、大学受験生の標準的な学力レベルがダウンすることは自然な傾向である。こうした履修教科の減少の元をたどると、少子化に帰着すると思われる。大学は、少子化により受験生が減少することを恐れて受験科目を減らし、できるだけ多くの受験生を確保しようとする。そうした競争が特に私立大学で行われているように思われる。受験科目の減少が行き過ぎてすこし戻すため増やしてみたり、大学も苦労している姿が見える。一方で、高校の完全週休二日制を実現するため、授業時間を減す必要に迫られて履修科目の選択制が取られたのだろう。こうした事態から「ゆとり教育」の間はとくに、教養がでこぼこ状態の社会人が多数生まれているのではと危惧するのである。

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2011年12月28日 16:10に投稿されたエントリーのページです。

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