ゲーテの格言
- 「今日できないなら明日もだめです。1日だって無駄に過ごしてはいけません」
教師として、最も重要な任務は生徒一人ひとりを見ていて、迅速にできれば間髪を入れず、種々の具体的なアドバイスをすることだ。「こうしたらどうだ」とか「これを勉強しなさい」とか頻繁に繰り出すことが必要で、こうしたアドバイスが遅れると十分伸ばせるものも伸ばせなくなる。だから、一人ひとりの状況を寝ても覚めても思っていなければならない。
こうした仕事が大切なのにもかかわらず、生徒一人ひとりに対して、どんなアドバイスをすべきか気づけなかったり、気づいても1日伸ばしにしていると、結局、翌日もだめで、何もしないで終わってしまう。まさにゲーテの言うとおり、「今日できないなら明日もだめ」なのだ。「1日だって無駄にしてはいけません」というゲーテの言葉は真剣に受け取らないと、先生としても役割と責任が十分果たせないことになってしまう。
しかし、アドバイスが困難な場合も少なくない。何人かを前にして色々話しても、全員が理解してくれて、かつ全員の琴線に触れるような話は殆ど不可能なほど困難だと思う。色々と話した後で、「今私が話した内容を簡単にまとめて下さい」と聞き手に聞いて見るとふつう「自分が理解したこと」しか話さない。理解できたことしか頭に残っていないのだ。それ以外は全て聞き流していると考えられる。こちらが大切だと思うことと、最初からズレが生じているのだ。「人はみな、わかることだけ聞いている」というゲーテも言っているがその通りだと感じる。
- 「年を取ったら若かったときより多くのことをしなければならない」
このようにゲーテは「エッカーマンとの対話」で言ったそうだ。この話は斎藤孝先生の「座右のゲーテ」にある。ぼくも高校生の頃、「エッカーマンとの対話」を読んだが、あらためて、「年を取った後で」このように言われると、ややもすれば、することを減らそうと言う気持ちを引き締めてくれる。年を取ると若い頃よりもっと多くのことをすべきだというのは、それくらいの気持ちでいないと、自分の未来に対する期待が減り、「自分の抄録の編纂者」に過ぎなくなるのだ。年を取れば、さらに、元気に自己改革をしなければならないとゲーテは教えているのだろう。