各中学校では、ただ今、中学3年生に対する進路相談の最中である。当塾でも、父母面談または3者面談の最中である。それぞれの担任教師が、授業時間の前後を利用して懸命に面談を行っている。
ぼくは、昨日ある中学3年生の女子生徒とその母親に対して桃李国際の学校説明と入学相談を行った。学校の進路指導の先生からの紹介でこられた。第一志望校は、私立の高校で看護系の学科があるところだと説明してくれた。中学3年生から、具体的な目標を持っていることは素晴らしいことだが、そうした生徒は少数である。殆どの生徒は、自分が入れそうな高校を選んでいるだけである。しかもその際、普通科と職業系さえ区別しないで、単にその高校の合格ボーダーが自分の「偏差値」に合っているかだけしか考えない生徒が多い。もっとも、工業高校や商業高校といっても、卒業生の半数以上が大学等へ進学するので、普通科の高校と区別しないのも理解できる。高校の看護学科からも、ほとんどの生徒が、看護系の四年制大学、短期大学、看護専門学校などに進学し、その後看護師となるので、普通科へ進学するのと大差はない。
進路を選ぶとき、私は2つの面から考えるのがいいのではないかと思っている。まず第一は、自分の好き嫌いである。なにが「好き」かと聞けば、中学生も色々いえるはずだ。「自然や科学が好き」、「コンピュータが好き」、「ゲームやデザインが好き」、「車やメカが好き」、「外国語や旅行が好き」または、「料理が好き」という生徒もいるだろう。また、以前ぼくが進路相談を行った男子生徒は、「勉強が好き」で学者になりたいと言っていた。また、将来は何でもいいから「社長になりたい」という生徒もいる。「好き」が仕事になれば、こんな幸福なことはないであろう。また、「好きこそ物の上手なれ」という格言もある。
しかし、一方で自分の好きなことが、仕事としては成り立たないことも少なくないであろう。仕事の人気が高くて、競争が激しく生き残れないこともあり得る。そんなことを考えると、自分の「好き嫌い」ではなく、どこに仕事として成り立つ場所があるかを探すことも必要だろう。自分が生きられそうな、「隙間」を見つけるのだ。隙間を「穴」と言ってもよい。「穴」が自分のいきられる場所であり、何らかの商品やサービスを作るところだ。つまり、自分がどんな商品かまたはサービスを提供したら、世の中が受け入れてくれて、自分の生存を許してくれるかという視点で仕事を考える必要もあるのだ。その場合、自分が好きなことは、いったん封印しておくか、趣味として継続することになる。進路指導は、学習指導より格段にむずかしいと感じている。