学校間格差は確かに大きな問題である。問題は、学校間格差が存在すること自体ではない。実際、学校間格差が無くなることはあり得ないだろう。私が問題とするのは、学校間格差を考慮しないで校内の実力試験や定期試験で「偏差値」をつけることである。偏差値を使用しない場合で「平均点」を示すこともしばしば行われているが、この場合も事情はほとんど同様である。以前にも問題提起したことはあったが、格差の問題は中学・高校共に進路指導上大きな問題となることがある。実際、校内偏差値が生徒本人と保護者に大きな誤解を与えていることは明らかである。
たとえば、ある高校で実力試験を行い、5科目合計の偏差値が60くらいであったとして、全国的な模試では、同じ生徒の偏差値が40台であることも起こりえるのだ。中学でも事情はほぼ同様で、校内で算出した偏差値と岐阜県全域での評価した偏差値の間に相当大きな差が出ることがむしろ普通である。場合によっては、偏差値で10以上の差がでるのことも少なくない。校内の実力試験で5教科の合計の偏差値が60以上という成績票をもらえば、本人や両親は、この値を基準に進路や受験校を考えられるのは当然である。ほとんど役に立たない数字に惑わされることになる。これは大きな問題といわざるを得ない。校内の偏差値が、全国偏差値より低く評価される場合も問題は同じである。
どうしてそうした差が出るのだろうか。理由の一つは、学校間に大きな格差があり、予備校等が発行するボーダー表に示されている偏差値との間に大きなズレがあることである。もう一つの理由は、一つの中学や高校では生徒の絶対数が、偏差値算出の母集団として必要な数に達していないことである。私たちは、受験指導の際には、生徒や保護者のみなさんに正しい理解をしていただき間違いのない進路が選択できるように、慎重かつ正確に面談等を行っている。