きのうの午後から遅い昼食をとるため、久しぶりに柳ヶ瀬に出かけた。土曜日からの「信長祭り」で柳ヶ瀬はたいへんな人出であった。ぼくが小学生になる前の頃の賑わいを思い出させてくれた。当時、祖父はぼくを自転車の前にのせて、頻繁に柳ヶ瀬に連れて行ってくれた。ぼくを乗せるために自転車には補助の座席と、ハンドルには雨をよける三角形のフードが付いていた。柳ヶ瀬へ行くのは映画を見るためだった。その当時の最大の娯楽は映画で、祖父は映画が好きで特に当時流行していた西部劇のファンであった。映画を見た後、祖父はラーメンかウナギをいつも食べさせてくれた。映画は全く記憶がないが、おいしいものを食べた記憶だけが残っている。
柳ヶ瀬が賑わうのは、こうしたイベントを行うときだけだ。人出を確保し、賑わいを取り戻すための労力はたいへんであろう。この日曜日も屋台がたくさん出ていたが、屋台の整理は最近特に厳しくなった暴力団対策を行うため、主催者は相当苦労されているだろうと想像した。
柳ヶ瀬の賑わいを取り戻す方法を考えた。買い物に出かけるときは必ず車で出かける。その場合の条件は、駐車が便利で無料ということであろう。多少混雑しても柳ヶ瀬周辺の道路については、違法駐車の取り締まりを一切やめたらどうなるだろうか。違法駐車でいっぱいになってもそれを付近の住民や商店主が迷惑と思わないこととする。カオスの状況をわざわざ作り出すのだ。救急車のような緊急自動車が通れないなどの不都合がある。それも「何とかなるさ」と徹底して楽観的に考えることにする。ぼくが子どもの頃の柳ヶ瀬は、まさにカオスであった。狭い道路の反対側に行くことさえむずかしいくらいだった。これが楽しかった。祖父がぼくを乗せてくれた自転車をどこにおいたかは全く記憶がない。映画館の前だったかも知れない。自転車だから置き場所を考えないでどこかへおいたのだろう。その祖父もぼくが大学生のときに亡くなった。