Natureの9月14日号に次のような記事が掲載された。インターネットの記事をすこし引用する。
『自分の能力を実際より高く評価することが成功を招く場合のあることが、新たな研究で明らかになった。今回の研究を率いたスコットランド、エディンバラ大学の進化生物学者ドミニク・ジョンソン氏は、人が自らの能力を過大評価しがちな点は、かなり以前から心理学者によって確認されてきた。専門家の中には、自信過剰は目標に向かう熱意や決意などを高め、自己暗示によって願望を叶えるという意味ではプラスに働くとの見方もある。
しかし自分が優れているという過剰な思い込みは、誤った評価や非現実的な期待、危険な判断を招くことも研究から明らかになっている。とすれば、長い年月の自然淘汰を経て、なぜ自信過剰という性質が人類の主要な特性として残っているのか。そして今回、誤った自信過剰が、開戦の決断であれ、新たな株への投資であれ、多くのケースで勝率を高めることが、コンピューター・シミュレーションを用いた新たな研究により明らかになった。』
( http://www.nature.com/nature/journal/v477/n7364/abs/nature10384.html )
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この記事が伝えることは、以下のように要約できるだろう。「自信過剰であることは、人間の共通した傾向であって、自信過剰は非現実的な期待や危険な判断につながることもあり得るが、この資質は、何事においても成功を招く確率が高い。」
結局、成功するために大切なのは、バランス感覚ということであろう。チャレンジすることの「コスト」と「リスク」を冷静にかつ客観的に計ることが大切なのだ。この段階では、「自信過剰」という本質を引っ込めておかねばならない。その後、本来の資質である「自信過剰」を取り戻し進んでいけば、成功確率が格段に上がるのだ。しかし、そんなことは可能だろうか。「自信過剰」が人類の本質なら、コストの評価においても、低コストというバイアスがかかり、判断が狂ってしまうのではないだろうか。
人間が普通「自信過剰」だという認識は、常識のようだ。反省してみると、ぼくがこれまで小さい失敗をいろいろしてきたのはその為であろうか。大きな失敗がなかったのは幸いというべきだ。今後は、「自信過剰」をややセイブして、慎重派で行こうかな。