今年から始まりました新学習指導要領では、中学校保健体育において、「武道」と「ダンス」を含めたすべての領域が必修となっています。武道については、生徒の安全性の確保の問題がありますが、日本国の固有の文化であり、伝統的な文化でもあります。今回の指導要領改訂の基本理念に日本の伝統文化や芸能などを重視しようという考えによるものと考えられます。
また、古文や漢文など古典は小学校から学習事項に取り入れられます。しかしこうした学習内容は、すべて当塾ではずっと以前から指導してきたことばかりです。 また、昨年度から、琵琶や尺八、長唄、小唄といった邦楽の実演家と小・中学校の音楽教師を結び付け、各学校現場で、協働で邦楽を指導できる環境を整備してきています。伝統文化普及の観点から音楽の時間に質の高い邦楽指導をしたいと考えているためです。 こうした指導要領の変更の狙いは、ほとんど邦楽に触れない子どもたちにその素晴らしさを伝えて愛好者の底辺を拡大し、後継者育成につなげることのようです。明らかに指導要領の文面から、小・中の新学習指導要領で、音楽教育における邦楽の位置付けが高められていることが読み取れます。 これも当塾では、ずいぶん以前から行ってきたことです。
このように文科省は、音楽を始め古典文化芸能、武道やダンスなどを必須科目として重視しようとしていることは明らかですが、教育の現場ではどのように実行されるかは明確ではありません。武芸には危険がつきものであること、古典芸能や邦楽の楽器に習熟して教師が極めて少ないことなどが理由です。
確かに、英語・数学・理科・社会・国語が主要5教科というのは、現在の日本だけのことで昔にさかのぼれば、哲学・神学・音楽が主要3教科であった地域や時代があるし、「読み書きそろばん」が主要3教科であった時代もあれば、「古典・詩歌・管弦」が教養の3本柱だった時代もありますから、「数学・日本語・英語・芸能」の4教科を主要4教科としても良いように思われます。芸能は邦楽も洋楽もダンスも日舞も全て含みます。主要な教養の項目は、時代と共に変わるべきものだと思われます。