新年のご挨拶
生徒の皆さん及び保護者の皆様、新年明けましておめでとうございます。
令和5年が生徒諸君には飛躍の年となり、保護者の皆様には一層の平安の年となりますことを祈念申し上げます。なお、保護者の皆様には当塾の教育に関しまして、本年も一層のご理解とご支援を賜りたくお願い申し上げます。
勉強法についてのベストセラー本100冊に書かれているエッセンスだけを1冊にまとめた本があります。日経BPから出版されています。この本には、多くの人に共通する勉強法の基本ルールとして40項目が紹介されています。実際には、学ぶ人の個性や置かれている環境など種々の条件によって、異なるとも考えられますから、最適な勉強法は自分で見つけるべきものかも知れません。しかし、「勉強法」のルールとして誰にも共通し、重要と思われる方法もありますから、その中で最も重要と考えられる5つの方法について紹介します。
①繰り返し復習する。
②テストなど、期限から「逆算」して計画を立てる。
③あらゆる事にタイムリミットを設ける。
④インプットしたら必ずアウトプットする。
⑤記憶術をマスターし実際に使う。
上記のルールのそれぞれの項目について考えて見ましょう。
①繰り返し復習する
復習のタイミングについては、種々の意見がありますが、一度覚えたことそのままにしないで、少なくとも3回は復習すべきです。復習のタイミングの一例を紹介します。
1回目・・・1週間後
2回目・・・1回目の復習から2週間後
3回目・・・2回目の復習から1か月後
大切なことは、ある程度時間の間隔をあけて、3回以上復習することです。2回目以降は最初に学んだときにくらべれば、時間的にも短時間で済み、効率的に勉強ができます。復習するタイミングは、自分で調整しても全然かまいません。色々試してみましょう。 また、復習の回数については「反復5回の法則」があります。5解復習すべきだという法則です。
②テストなど、期限から「逆算」して計画を立てる
入試を初め、定期試験や実力試験など試験日が決まっている場合、試験日の3週間くらい前から、復習計画を立てましょう。試験範囲が分かっている場合は、科目ごとに計画を立てます。苦手教科がある場合は、その教科に掛ける時間を得意科目の2倍くらいに設定しましょう。 計画は、紙に書いて机の前に貼っておきましょう。復習の方法は、問題集を中心にすべきです。問題集を使って試験範囲の全ての問題を解いて下さい。分からないところは、教科書に戻ったり、ネットで検索して調べて下さい。もし過去問があれば、その過去問を中心に取り組んで下さい。問題集中心の復習の方が、教科書を中心に復習するより効率的です。
小テストや単元テストなど、全てのテストで採点されて返却されたテストペーパーは、キミにとって最高の教材です。そこで間違えた問題は、特に念入りに復習して下さい。最も効率よく復習できます。
試験日がゴールです。問題集を解く中で、残された日に何をやるかを考えて計画を作って下さい。その場合、教科書や問題集でやらなければならないページ数を、残された日数で割れば、1日当たりやらなければならない勉強量が分かります。その値をベースに受験準備の計画を作って下さい。
③タイムリミットを設ける
試験対策にかぎらず、普段から締め切りを自分で設定し、その締め切りを重視して取り組んで下さい。締め切りがあるのとないのとでは、集中力がまるで違ってきます。勉強がはかどるのです。集中力も記憶力も一気に向上します。
②の計画とも関係しますが、集中力が高まれば、記憶力も高まって学力向上につながります。これがタイムリミットを設ける意義です。タイムリミットを考えないで目標だけ設定しても役に立ちません。タイムリミットはなるべく細かく設定した方が、一層タイムリミットを設ける効果が高まります。また、期限を短くすることも重要です。その際、日ではなく「時間」を期限に設けるのがベストです。
例えば、数学の問題を5題解く時間は、実際に入試などから考えて設定すべきです。入試の時間が2時間ならその8割くらいの1時間40分くらいに設定するなど本試験を意識して計画を作って下さい。
例えば、単語を10個覚えるには1個あたり3分として、30分に設定するなど、自分で考えて、時間でタイムリミットを設定して下さい。
④インプットしたら必ずアウトプットする
勉強は、インプットとアウトプットの2つがセットになっています。インプットとは、授業をうけたり、教科書や参考書を読んで情報を取り込む段階です。アウトプットはその内容を外に出してみることです。問題を解くことが最も典型的で、しかも重要です。また、人に教えることもアウトプットです。
ここで大切なことは、インプットとアウトプットの割合です。どうしても、インプット中心となり、アウトプットが少なくなりがちなのです。人にもよるでしょうが、インプット対アウトプットの割合を、3対7くらいにしたいのです。2対8ならもっと良いと思います。要するにアウトプット中心の勉強が大切なのです。特に数学や理科などは、定義や定理を覚え、公式を覚えるインプットは確かに必要ですが、その後はもっぱら問題練習中心の勉強をすべきです。問題を解く勉強を中心に勉強していく中で、分からないことが出てきたら、その部分をインプットで補うという感覚です。
ただ繰り返し教科書を読むより、問題練習の中で必要な情報を取り込む方が、勉強の効率がぐんと上がります。
⑤記憶術をマスターし、実際に使おう
これまで勉強法の中心は、繰り返しによる暗記が大切であるといわれ、記憶の方法すなわち「どうやって覚えるか」、覚え方自体の方法については、ほとんど何も指導されませんでした。
確かに英語など外国語の勉強法を考えると、文章の丸ごと暗記が最も重要で効果的だと思います。野口悠紀夫氏は、外国語の習得法としてまるごと暗記することを勧めています(『超』勉強法)。丸暗記法が最も効果的な外国語の勉強法であることは確かだと思います。 外国語以外の教科の勉強を考えると、繰り返しによる丸暗記以外により効率の良い覚え方があります。その覚え方が「記憶術」です。
主な記憶術には,古代ギリシア時代以来の弁論術の伝統の中で発達した「場所法Romann room法」があります。これは熟知した場所の道順に従って,いくつかのプレースを設定し、そのプレースと、覚えたいことを影像として結びつけて覚える方法です。たとえば,リンゴ、柿、みかんをその順番に自分の家の玄関、廊下、居間を用いて覚えるには、玄関とリンゴを、廊下と柿を、居間とみかんをイメージとして結びつけて覚えます。思い出すときは、家に入る順序つまり玄関から廊下そして居間と頭の中でたどりながら思い出します。なお、場所法などの記憶法は、覚えたい事項をその順序でしかも正確に覚えるには極めて有効です。しかしながら、記憶術に習熟するためにはかなりの練習が必要です。そのことを理解した上で、誰でもマスターできると信じて頑張りましょう。そして、実際にマスターできたときは、イッキに成績を上げたり、難しい資格試験や志望校の入試に合格できるなど、将来を切り拓く力になることは間違いありません。