【教育ニュース】脱ゆとり教育(1)
小学校では、今年度から新しい学習指導要領が本格実施されている。ポイントは「脱・ゆとり教育」。国の方針で勉強する量が大幅に減っていた公立小学校でも、教科書のページが増えるなど、内容が大幅に回復している。来年度以降は、中学校と高校でも順次本格実施される。
学習指導要領で注目されているのは、授業時間など、学校で学ぶ時間や量を大幅に増やした点だ。「ゆとり教育」路線で授業時間などを大幅に削減した14年の旧学習指導要領から、完全に方向転換した。小学校では、45分授業を「1時間」とする標準授業時数が、1・2年生で週2時間、3~6年生で週1時間増やされ、中学校でも50分授業を「1時間」とする標準時数が週1時間増やされた。時間だけでなく内容もレベルアップした。旧指導要領では小5で「3」としか教えなかった円周率も「3.14」と教えるようにした。高校では授業時間増は明示されていないが、やはり内容は充実した。特に、英語では標準単語数を1,300から1,800に増やし、理数系科目でも内容が大幅に増やされた。
実は、多くの学校では、22年度以前から新指導要領の趣旨を先取りして、少しずつ教育内容のレベルアップが行われてきた。そのため、必ずしもすべての小学校で、今年度急に授業量が増えているわけではない。ただ、それは、副教材や正規の授業時間以外の有効利用で行われてきたことである。本格実施で「脱・ゆとり」が揺るぎないものとなったといえる。新要領に基づいて作成され、今年度から使われている小学校の教科書は、主要教科で平均28%の増ページ。来年度以降の中学校と高校の教科書も、やはり内容増となる見通しだ。